こんにちは。ルームズ唐人町で不定期に配布しております、おたより『ルームズつれづれだより』より~
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半年ほど前から、外部講師として管理栄養士の方に定期的に食育教室を開催してもらっています。
以前からのクッキング企画に加え、食について一緒に考えることで、食べ物や食べることそのものに関心をもってもらうための企画です。
野菜の育ち方や栄養群など講義を聴いてクイズ形式でやり取りする回や、マヨネーズを手作りして野菜につけて食べてみる回など、参加体験型の食育教室です。
今回は、7月に実施した「手洗い実験」でのAくんの『視覚優位がよくわかる』エピソードをご紹介します。
この日の流れは、まずでんぷん液に両手を浸し10分ほど乾かしてから、いつもしているように泡ソープで手を洗います。そして手洗い後の手にイソジン希釈液をスプレーすると、でんぷんに反応したところが黒く変色し汚れを視覚的に確認できる、というものです。ここで、スタッフの二人がそれぞれ、泡ソープを使わず流水のみで手を洗う役と、全く洗わない役を担いました。子供たちはみな、いつもより少しばかり念入りに?手洗いした結果ほとんど汚れが残らず、手首や爪の周りに少し黒い反応が見られた程度でとても優秀でした。ところが最後にイソジン液をスプレーされたスタッフ二人はというと・・流水のみで洗った手は黒い反応が所々に、そして洗わなかった私の手は、スプレーした瞬間から真っ黒に変色し、観察していた子供たちは大喜び!先生の手はまっくろだーー!!と大歓喜です。
中でもAくんは視覚的な情報を取り込みやすい特性の持ち主で、真っ黒な手を見て大興奮!実験自体は、最後に正しい手洗い方法をおさらいして終了しました。
実験終了後もAくんは、私の真っ黒な手が印象的だったのでしょう、「手が真っ黒だったね!」と何度もニコニコしながら話しかけてくるので、「洗わないままだとあんな汚れた菌だらけの手なんだね。だからご飯を食べる前は必ず泡を付けて洗おうね。」と応じていました。
そして翌週の利用日、私を見てあの印象的な手を思い出したAくん。
真っ先に「先生の手は黒かったね!」と前週の感想を伝えてきました。
それからしばらく「どうして手洗いが嫌いなの?」と質問され続け、すっかり『手洗いしない人』になってしまった私。手を洗わなかったらこんなに汚れが残ると知ってもらいたくてあの時は洗わなかったけど、いつもは石鹸で洗っているよ、と答えますがそんな返答はお構いなし。「先生は何才から洗わなくなったの?」「家に帰ってきたときも洗わないの?」しまいには「うがいも嫌いですか?」と。A君の質問がなんだかおかしい反面、『手洗いしない手の真っ黒なひと』との烙印を押され、困った事態になりました。
送迎業務から戻ったタイミングで、いつものように手洗いしているところへAくんを誘い、実際に洗っているところを見てもらったうえで、当日は栄養士さんから頼まれて手を洗わなかったことや、その日だけわざと手を真っ黒にしてみんなに見せたことを丁寧に説明したところ、「頼まれたから洗わなかっただけなのかー。勘違いしてごめんね。」としっかり理解してくれ一件落着しました。
『百聞は一見に如かず』ということわざにもあるように、目で見たことのほうが確かだと思うのはAくんに限らず一般的なことです。
ただ、私たちは視覚や聴覚、嗅覚などから得た様々な情報を統合して環境を理解し、行動を調整して生活しています。
偏った情報のみを取り込みやすいと、他方の重要かもしれない情報が入りにくくなり、今回のように結果的に間違えた情報をもとに行動してしまうことにもなりかねません。
多岐に渡る情報があふれる中でどう判断し行動していくか、その力をつけるために今できることを考えていきたいと思います